CLOVER
2人で手をつないで帰る道。
2ヶ月付き合ってて、こんなことしたのは初めてだったね。
寒くなった街灯の下、
震えてた私にジャケットかけてくれたよね。
あったかかった。
もっと、ずっと、あなたのぬくもりを、感じていたかった。

「誰かに愛されている」

思うだけで心が熱くなる。
目が合うだけで、ドキドキする。

好きじゃないのに。
私は、あの人を探し続けていたのに。
こんな優しさに甘えて、いいのかな。
こんなに幸せで、いいのかな...?

辺りはもう真っ暗だった。
暗い中、必死でお互いの表情を確かめ合う2人。
すると、まるでそれを待っていたかのように目の前で、何かが鳴きだす。
草むらや田んぼに隠れて、2人をみつめる。
しばらくしてその存在を知った2人は、
もう季節が夏になりかけていることに気づく。

私も。
寂しかった春を、
寒かった春を追えて、
夏を大智と迎えることができた。
一人じゃない夏は、初めてだろう。

明日からは...
明日からは...。
幸せな毎日になるよね。

ちょうど家に着いたとき。
離れたくないと思い、思わず口にした言葉。

「うちに泊まってよ。」

幸せなら、大智が愛してくれているなら。
私も大智を愛せるように、大智に答えていかなきゃいけない。

大智、聞こえてる?
私を好きでいてくれて、ありがとう。
愛してくれて、ありがとう。
あの時、手を離さないでいてくれて、ありがとう。
私、きっとあなたを好きになる。

豆電球ひとつついた部屋で、キスをして、
ハグをして。
そして、2人の思いは、カラダは、ひとつになった。

私は知らなかった。
これがLove storyだと、思い込んでいた。
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