自称彼氏と自傷彼女。
3
次の日から、彼はあたしを見張るかの様に隣にいた。
「ねぇ、切らないから」
「ダメ。俺が一緒に居たいの」
「黒崎くんモテるんだからもっと可愛い子と付き合いなよ」
「…はぁ。音色も十分可愛い。」
よ、呼び捨て!なんか慣れないなぁ。
「音色も、千里、って呼べ。」
「…ち、」
「ん?」
「ちさ、と。」
「そーそー。それでいーの。」
因みに言うと、あたしは彼氏って認めていない。
だから千里くんがやってる行為はストーカーにあたるのでは?と思い始めてきた昼休み。
「千里、あたし千里と付き合ってない」
「何言ってんの?勘違いも程々にね。」
「え?いやいやいや逆だよね?」
「…?」
とぼけるとは良い度胸じゃねぇか。
…あ、この会話、どっかで聞いたことある。佐奈様だ!シマタ!今日佐奈様とお弁当の時間だった!
「ち、千里!あたし急遽用事ができた!佐奈とお弁当食べる約束してたんだった!」
そう言うと彼はフッと笑い、『いってらっしゃい』って言って怠そうに手を振ってた。
そんな姿にさえ、ドキドキしちゃってる自分ってどうなんだろう。