自称彼氏と自傷彼女。
だけど、何かと雑になった気がしなくもない。
「千里」
「んー?」
「ありがとう」
「…いーえ」
千里は一瞬驚いた様な顔をして、直ぐに表情を笑顔に変えた。
ふわり、柔らかい笑顔。何故だか、懐かしい。
「お母さんだ…」
「ん?どこ?」
「や、違う。千里の笑い方お母さんに似てる。お母さんもふわふわ柔らかく笑うの。あたしが泣いたらいつも笑って頭を撫でてくれた。千里、お母さんにそっくり。」
「そか。今、お母さんは?」
「居ない」
「…音色、俺さ、双子の妹が居た。だけど小学生のころ、別れたんだ。」
「へー、そうなんだ!あたしも!あたしも小学生の頃お兄ちゃんと別れたの。」
「…」
千里はそれ以上何も言わなかった。ただ一人何かを考えているかの様に俯いてた。
その横顔さえも懐かしい。誰かに、似ていた。