恋綴り
12年前…
『龍ちゃーん!』
『なんや、実羽かぁ…って、どないしたんや!』
あの日と同じような夕方
あの場所
『えぐっ…あんなぁ…翔太君にいじめられたあ…っ!』
『なんやて!?あいつ~、うっしゃ、俺がついてるから、泣くんやないで!』
小さな手で
うちの服の泥を必死になって
叩いてくれた
『龍ちゃん…』
『安心せぇや
俺たちは、ずっと一緒や』
『ほんまかあ…?約束やで!』
『おお!ほんまや!せや、ゆびきりげんまん、しよか!』
夕日を背にして
何度も何度も指切りを交わしたのを今でも思い出す
…――――
「思い出したか?」
「あ…うん…」
再び沈黙が続く