キミのとなり。
「ヒロシくーん、スノボデートはどうなったのかなぁ??」
ヤベだ。
「あ、おう…ミキがユウコも誘うって言ってたぞ。別にいいよな?」
「マジで!?全然オッケー!!むしろ好都ご…いや、なんでもないッス!」
怪訝そうな顔のヒロシをよそに、ヤベは心の中でガッツポーズを決めていた。

その頃、ミキ達も同じ話題で盛り上がっていた。
「ユウコ、今度スノボ行かない?ヒロシとヤベくんも一緒に!」
「いいねー!行く行く!」
同じく心の中でガッツポーズを決めるユウコであった。



−そして、12月吉日−

雲ひとつない空、前日に降った大雪。スノボにはもってこいの天候であった。
「ゲレンデ日和ってこういう事いうんだよね!」
今日も相変わらず無邪気なミキである。

4人はミキとユウコ、ヒロシとヤベの組み合わせで早速ペアリフトに乗ることにした。

前方のリフトに乗り込んだユウコは作戦を決行するべく、口火を切った。
「ミキ、ヒロシくんと付き合う気ないんだよね?」
「え!?何、急に言い出すの!?」
ミキの頭は軽く混乱した。
「私もそろそろ彼氏ほしーなーって思ってさ。ヒロシくん、結構優しいじゃない?ちょっと狙ってみようかなーなんて。…いいかな?」
ユウコは申し訳ない風を装い、ミキの顔色を伺った。
「…いいも何も…彼女でもなんでもないし…ユウコが好きなら狙えば…?」
ミキの声は明らかにトーンダウンしていた。
「うん、じゃあ今日ちょっと頑張ってみようかな!」
ユウコはわざと明るく発破をかけてみた。

また同じ時、後方のリフトでは、同じくヤベが口火を切った。
「ヒロシ、俺、ミキちゃん狙おうかと思うんだけど。」
「へ!?マジで言ってる?」
ヤベはちょくちょくミキのことを“かわいい、かわいい”と言っていたが、今までヒロシは半分冗談だと思っていた。
「おう。ちょっとマジでいってみようかなーなんて。」
ヒロシはしばらく考え込み、一呼吸おいてから口を開いた。
「まぁ、お前がマジならいいんじゃねぇの?頑張ってみれば?」
半分投げやりなヒロシである。
「え!?ホントにいいんか??…後で後悔しても知らないぞ!」
ヤベの慌てた様子を怪訝そうに疑うヒロシであった。


リフトを降りると、早速ユウコはヒロシに声をかけた。
「ヒロシくん!ミキにスノボすごい上手だって聞いたんだけど教えてもらってもいい?」
「え…あ、いいけど。」
ヒロシは思わず心ない返事をしてしまった。
そこへヤベが待ってましたとばかりにミキに声をかけた。
「じゃあ!ミキちゃん、俺と一緒に先に滑ってようよ!」
「え…あ、うん。」
ミキはさっきのリフトでの会話を思い出し、ユウコの様子が気になってしかたがなかった。
「じゃあ、先に行ってるね。」
明らかに元気がないミキであった。
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