ワケあり!
「織田の血桜」
家に帰りついた絹を待っていたのは、島村の一言だった。
言い残すなり、ボスの荷物を預かって、さっさと奥へ行ってしまう。
「ちょ…」
やっぱり、島村は調べたのだ。
桜の実家について。
「織田の血桜とは、マニアックなものを引っ張ってきたな…ははは」
しかし、もっと驚いたのは、ボスがそれを軽やかに笑ったからだ。
「って…ん? 織田って…チョウが言ったのは、もしかしてそのことか!?」
自分の言葉で、自分で驚き始める。
遅いです、ボス。
絹は、うーんとうなった。
「しかし、なんでチョウはお前に、織田の名前なんか聞くんだ?」
心底不思議そうだ。
絹だって知りたい。
大体、織田ってどちらさま?
「織田は、血族の名前とも、集合体の名前とも言われているが…関西を本拠地とする悪者の集団だ」
戻ってきた島村は、稚拙な表現をした。
悪者、だなんて。
「お前がいたところも、織田絡みだぞ」
追加情報に、絹は時を止めた。
「織田は、非合法の塊だからな…この国を牛耳ってる最大の悪であることは確かだ…ははは」
ボスは、どこまでも軽やかだった。
「ああ、島村…織田は、血族でも集団の名前でもなく、個人名だ。当主のみ、そう呼ばれるんだ」
マッドサイエンティストたるもの、正しい知識を持たねば。
真面目に、ボスは訂正を入れてくる。
面食らっているのは、島村だ。
「えらく、詳しいですね…」
彼のつっこみに、ボスは黙り込み――天井を見た。
「さて…録画でも見るか」
いきなり、話が急旋回した。
ごまかそうとしてる!?
それはもう、あからさまだった。
チョウの、あの華麗な会話の切り替えを、少しは見習えと言うくらい。
呆気にとられる二人を置いて、ボスはさっさと自室へ行ってしまったのだった。
家に帰りついた絹を待っていたのは、島村の一言だった。
言い残すなり、ボスの荷物を預かって、さっさと奥へ行ってしまう。
「ちょ…」
やっぱり、島村は調べたのだ。
桜の実家について。
「織田の血桜とは、マニアックなものを引っ張ってきたな…ははは」
しかし、もっと驚いたのは、ボスがそれを軽やかに笑ったからだ。
「って…ん? 織田って…チョウが言ったのは、もしかしてそのことか!?」
自分の言葉で、自分で驚き始める。
遅いです、ボス。
絹は、うーんとうなった。
「しかし、なんでチョウはお前に、織田の名前なんか聞くんだ?」
心底不思議そうだ。
絹だって知りたい。
大体、織田ってどちらさま?
「織田は、血族の名前とも、集合体の名前とも言われているが…関西を本拠地とする悪者の集団だ」
戻ってきた島村は、稚拙な表現をした。
悪者、だなんて。
「お前がいたところも、織田絡みだぞ」
追加情報に、絹は時を止めた。
「織田は、非合法の塊だからな…この国を牛耳ってる最大の悪であることは確かだ…ははは」
ボスは、どこまでも軽やかだった。
「ああ、島村…織田は、血族でも集団の名前でもなく、個人名だ。当主のみ、そう呼ばれるんだ」
マッドサイエンティストたるもの、正しい知識を持たねば。
真面目に、ボスは訂正を入れてくる。
面食らっているのは、島村だ。
「えらく、詳しいですね…」
彼のつっこみに、ボスは黙り込み――天井を見た。
「さて…録画でも見るか」
いきなり、話が急旋回した。
ごまかそうとしてる!?
それはもう、あからさまだった。
チョウの、あの華麗な会話の切り替えを、少しは見習えと言うくらい。
呆気にとられる二人を置いて、ボスはさっさと自室へ行ってしまったのだった。