ワケあり!
 青柳青柳青柳青柳。

 原始的な遺伝子コーディネーター。

 姿は見ていないが、森村もこの屋敷のどこかにいる。

 そして、種馬のように、屈辱的なことを強いられているのだ。

 ぞっとする。

 渡部が、この顔は作り物だと公言してくれれば、その難は逃れられるだろう。

 しかし。

 彼に自分の命運を委ねるなんて、出来るはずがなかった。

 ニセモノの顔の女を連れてきました――そう、渡部は言うだろうか。

 いや。

 きっと言わない。

 だから、過去を消したのだ。

 絹のことを調べる人間たちを、騙すために。

「んー…帰りたいなら、送っていこうか?」

 青ざめていく絹に、蒲生はいきなりぶっとんだことを提案した。
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