ワケあり!
「ほら…天野組の跡取り娘。ゾッコンだろ? 渡部の小僧、あのねーちゃんに」

 えええーー!!

 衝撃の事実に、絹は目が点になっていた。

 ぞっこん!? あれが、ぞっこんの態度!?

 どう思い出してみても、どこをとっても犬猿の仲にしか見えないあれが!

「見てれば分かるだろ? あいつが、マジもんで絡むのは、あのねーちゃんだけだし」

 本当に嫌いなら、さっさと抹殺してるだろうしな。

 大胆な観察眼に、しかし、絹はなるほどと納得させられた。

 本当に目障りなら、もう彼女はこの世にいないはずだ。

 あれだけ言いたい放題にさせているのに。

「ええと…渡部さんって…ドM?」

 絹の素朴な言葉は、蒲生を爆笑の渦に突き落としただけだった。
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