ワケあり!
 夏休みー。

 と、子供のようにはしゃげない絹は、あくびをしながら部屋から降りてきた。

 夏休みということは、本来の仕事である、広井ブラザーズとの交流が一気に少なくなる、ということだ。

 たとえ、ちょこちょこ会う口実を見つけたとしても、40日というのは長すぎる。

 身を守りつつ、どうやってすごしたらいいものか。

 居間を覗くと、ボスと島村がいた。

「おはようございます」

 いつものように声をかけたが、何か雰囲気がおかしい。

 島村は、しらっとしているが、ボスは微妙な表情だ。

「お前…」

 しらっとしたまま、先に島村が口を開いた。

「お前…夏休みの間、広井のところで生活しろ」

 突然な話だった。

「広井って…」

 絹が、戸惑っていると。

「今朝、チョウから電話がきた…絹が心配なら、夏休みの間くらい、うちに預けないか、と」
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