ワケあり!
「だから、オレたちは子供の頃から、ここにアルバイトにこさせられてるんだ」

 自分の二の舞にならないように。

 もし、チョウに何かがあったとしても、社員がすんなり子供たちを迎え入れるように。

 すごいなぁ。

 ボスが――チョウを好きになる理由を、ひしひしといま感じる気がした。

「大きい人ね…」

 しみじみと、言ってしまう。

 本当にそう感じたのだから、しょうがない。

「どうやって、父さんを抜けばいいんだろうな…」

 将はピンセットで部品をつまみ上げながら、うーんと唸る。

 兄弟たちの越えなければならない壁は、とても高いようだった。
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