ワケあり!
「ありがとうございました…助かりました」
逃げ去ったクラスメート(?)に、感謝しなければ。
絹は、まさか京が釣れるとは思わず、我知らずにこやかになっていた。
写真と、今朝、座席ごしに見た顔。
じっくり見ておきたかった。
将の輪郭を荒削りにして、やわらかい髪を嫌うような逆立て、目を少し細めると――京になる。
「たまたま、通りかかっただけだ」
不承不承。
そんなポーズで、絹の言葉を素直に聞き入れない。
「でも、助かりました」
にこり。
さて。
京のような悪ぶりたい男は、どう攻めるべきか。
下手に押すと、逃げそうだ。
引いてみるか。
絹は、それ以上京には構わず、空を見上げてため息をついた。
あたたかい春の日差しを浴びながらも、意識はベンチの後ろ、だ。
少しの沈黙。
「待ち合わせの相手、まだこねーのか?」
よしっ。
自分から話を振ってきた京に、絹は心でガッツポーズを作った。
ボス、やりました。
逃げ去ったクラスメート(?)に、感謝しなければ。
絹は、まさか京が釣れるとは思わず、我知らずにこやかになっていた。
写真と、今朝、座席ごしに見た顔。
じっくり見ておきたかった。
将の輪郭を荒削りにして、やわらかい髪を嫌うような逆立て、目を少し細めると――京になる。
「たまたま、通りかかっただけだ」
不承不承。
そんなポーズで、絹の言葉を素直に聞き入れない。
「でも、助かりました」
にこり。
さて。
京のような悪ぶりたい男は、どう攻めるべきか。
下手に押すと、逃げそうだ。
引いてみるか。
絹は、それ以上京には構わず、空を見上げてため息をついた。
あたたかい春の日差しを浴びながらも、意識はベンチの後ろ、だ。
少しの沈黙。
「待ち合わせの相手、まだこねーのか?」
よしっ。
自分から話を振ってきた京に、絹は心でガッツポーズを作った。
ボス、やりました。