ワケあり!
 午後。

 その温Pとやらについた。

 赤枠プレートではない。

「社長! 長期実験の試案が出来てます!」

 わーっと、また社長の周りに人だかりだ。

 ぽいっちょと、群れから弾かれた絹は、京の姿を探す。

 いた。

 パソコンの前だ。

「ご飯も食べずに、熱心ね」

 覗き込むと、画面には世界地図が表示されていた。

 その上を、さまざまな色が這っている。

「すごい代物だからな。きちんと管理して使わないと、かえって危険だ」

 マウスを操作しながら、目もそらさずに京が言う。

 微妙に、言葉が飛んでいる気がした。

「何のこと?」

 疑問に、ようやく京は椅子を回して彼女を見た。

「あぁ…先生の作った発電機の話だ」

 何でお前が聞く、と言わんばかりの唇。

 んー。

 ボスの作った発電機と言えば、気温や体温を利用して発電できるシステムだ。

 それが地球温暖化と――あ。

 つながった。

 熱を奪って発電するのだから、発電機がある場所の周囲は熱を奪われ温度が下がるのだ。

 なるほどー。

 確かに、これを使えば、人工的に気温を下げることが可能だ。

 しかし、あくまでも人工的な介入になるので、下手な使い方をすると、温度が下がりすぎてしまう。

 それはそれで、環境に悪影響を与えるのは間違いなかった。
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