ワケあり!
『いろいろ突っ込んでたどったら…不思議なことに…二人の人間に行き着いたぞ』

 途中で、枝分かれするんだ。

 面白そうに、蒲生が笑う。

 二人?

『その内の一人が、また傑作でさ…』

 はっはっは。

 笑うかしゃべるか、どっちかにして。

 一人で電話口でウケている蒲生に、本当に突っ込もうかと思った。

『なんと、ボンが大好きな天野っちの兄貴だぜ』

 瞬間。

 絹の意識は、カメラの連続撮影みたいな、コマ送りになっていた。

 死んだように眠る島村。

 そばに落ちていた――天野女史の写真。
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