ワケあり!
「人は…昔から外見に惑わされやすいものです」

 アキは、一度言葉を切った。

「もし、目の前に保護者と同じ顔の悪者が現われたら…どうします?」

 彼女の言葉は、真っすぐだ。

 絹は、ふっと笑った。

「確かに…何も出来ないわ」

 それと同じことを、絹はしているのだ。

 真実を知れば、いま彼女を擁護してくれている広井が敵になりかねない。

 綱の上に立っている気分だ。

 黙り込んだ絹に。

「一度、自宅に戻られたらいかがでしょう? 私がガード致しますので」

 ホームシックもあると、思われたのだろう。

 しかし、ありがたい申し出でもあった。

 ボスや島村と、ちゃんと顔を合わせて、話がしたかったのだ。
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