ワケあり!
ピンポーン。
朝食が、ちょうど終わる頃。
チャイムが鳴った。
誰も訪ねてこない家を考えれば、珍しい出来事だ。
いまこの家で、普通の活動をしているのは、絹一人。
ボスと島村は、寝ているか、地下の秘密部屋で怪しげなことをしているか。
だから、応答に出るのは、絹以外になかった。
「はぁい、どちらさまでしょう」
インターフォンの通話を開く。
カメラには、何も映し出されていない――と思ったら。
「ばぁーっ!」
下からいきなり、了が飛び出してきた。
「了くん…」
絹は驚きながらも、ボスを探してしまった。
リアルタイムで見せたかったのだ。
しかし、残念なことに、ボスはこなかった。
「今日から、お迎えもするよっ! 準備できたら、出てきてー」
天真爛漫な了の声に、はははと声にしない笑いを浮かべた。
だいぶ、彼女に入れ込んできてくれたようだ。
誰の提案かは知らないが、ご苦労なことだ。
インターフォンにも、録画機能を付けた方がいいかもしれない。
帰ってきて相談しようと、絹は準備をして玄関を出た。
「絹さーん、おはよー」
了は車を下りて、玄関前で待っていた。
「おはよう、了くん。朝までありがとう」
腕を取られながら、絹はお礼を言った。
「おはよう、絹さん」
ドアが開いて、中から将に招かれる。
今日は、彼女が真ん中かと思ったら。
「へへへっ」
了が、するっと先に乗り込んだ。
「将兄ぃ、もちょっと詰めてよ」
「てめっ」
兄弟の攻防を、目を細めて見ていると、視線を感じて、ふっと顔を上げる。
珍しく助手席の窓が開いていて、京が自分を見ていた。
「おはようございます、京さん」
貴重な睡眠時間を、木綿のためにさいていいの?
心の中で、呟く。
木綿――いい得て妙だ。
京が、最初に言った言葉。
木綿を、絹と見間違っている人たち。
「ああ…」
京の返事を聞きながら、絹は車に乗り込んだのだった。
朝食が、ちょうど終わる頃。
チャイムが鳴った。
誰も訪ねてこない家を考えれば、珍しい出来事だ。
いまこの家で、普通の活動をしているのは、絹一人。
ボスと島村は、寝ているか、地下の秘密部屋で怪しげなことをしているか。
だから、応答に出るのは、絹以外になかった。
「はぁい、どちらさまでしょう」
インターフォンの通話を開く。
カメラには、何も映し出されていない――と思ったら。
「ばぁーっ!」
下からいきなり、了が飛び出してきた。
「了くん…」
絹は驚きながらも、ボスを探してしまった。
リアルタイムで見せたかったのだ。
しかし、残念なことに、ボスはこなかった。
「今日から、お迎えもするよっ! 準備できたら、出てきてー」
天真爛漫な了の声に、はははと声にしない笑いを浮かべた。
だいぶ、彼女に入れ込んできてくれたようだ。
誰の提案かは知らないが、ご苦労なことだ。
インターフォンにも、録画機能を付けた方がいいかもしれない。
帰ってきて相談しようと、絹は準備をして玄関を出た。
「絹さーん、おはよー」
了は車を下りて、玄関前で待っていた。
「おはよう、了くん。朝までありがとう」
腕を取られながら、絹はお礼を言った。
「おはよう、絹さん」
ドアが開いて、中から将に招かれる。
今日は、彼女が真ん中かと思ったら。
「へへへっ」
了が、するっと先に乗り込んだ。
「将兄ぃ、もちょっと詰めてよ」
「てめっ」
兄弟の攻防を、目を細めて見ていると、視線を感じて、ふっと顔を上げる。
珍しく助手席の窓が開いていて、京が自分を見ていた。
「おはようございます、京さん」
貴重な睡眠時間を、木綿のためにさいていいの?
心の中で、呟く。
木綿――いい得て妙だ。
京が、最初に言った言葉。
木綿を、絹と見間違っている人たち。
「ああ…」
京の返事を聞きながら、絹は車に乗り込んだのだった。