ワケあり!
Ver.京3


「ほー…それじゃ、覚悟しとけよ」

 上等だ、という瞳。

 ぎくり、と。

 絹は、いやな予感がした。

 顔が、どんどん近づいてくる。

「来週には、もう逃げられなくしとくからな」

「ちょ…何する気!?」

 狼の尻尾を踏んだことに気づく。

 いきなり、何かを決意させてしまったのか。

「今か? 今なら…キスだ」

 ちがう! そっちじゃない!

 絹の叫びは――彼の唇の中に消えてしまったのだった。


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