ワケあり!
ボスの一念が通じたのか――無事、観測会は晴れ渡った。
学校から帰ってきた絹は、前回より多く夜食を作り始めた。
今回は、ボスとチョウも一緒なのである。
ということは。
「島村さん…留守番ですね」
いちいち、彼が夕食を作らなくていいように、絹は一人分小分けしてラップをかけた。
「ああ、だからカメラは置いてってもいいぞ」
島村の発言に、絹は動きを止めた。
ボスも一緒なら、確かに必要ないかもしれない、と。
絹は胸ポケットから、それを取り出そうとした。
「いや、つけておきなさい」
しかし、ボスは止める。
「私はチョウの相手が忙しいから、ほかをゆっくり見ることはできないだろう」
帰ってきて録画を見る、と切に言うのだ。
「はーい」
絹は、素直にカメラをセットしたままにした。
「島村…人工衛星は撃ち落とせそうか?」
彼女の胸ポケットを確認した後、ボスは助手に向かってにこやかに言った――怖いことを。
「少し、位置的に難しそうですが、一基います…落としてみますか?」
「できれば、流星群にしたいからなあ」
「うーむ…期待にお応えしたいのですが、流れ星に見えるほど大きい人工衛星を複数、となると、難しいですね」
まってまって。
絹は、二人の会話に乾いた笑いを浮かべた。
相変わらず、物騒な相談をしている。
「明日、衛星落下がニュースになったら、みんな驚くんじゃないですか?」
彼女は、やんわりと止めてみた。
本気でやると言われたら、絹に止めようはないのだが。
「まあ、一基、当たって落ちただけでは、美しくないな…また別の機会にしよう」
「申し訳ありません」
ボスと島村は、絹の制止に関係なく、中止することにしたようだった。
さすがに、専門的かつ科学的アンモラルには、絹の入る余地がない。
「あ、その代わり」
島村が、ボスに言った。
「その代わり…最高の夜空を、先生に贈りますよ」
彼は、意味深な言葉を吐いた。
学校から帰ってきた絹は、前回より多く夜食を作り始めた。
今回は、ボスとチョウも一緒なのである。
ということは。
「島村さん…留守番ですね」
いちいち、彼が夕食を作らなくていいように、絹は一人分小分けしてラップをかけた。
「ああ、だからカメラは置いてってもいいぞ」
島村の発言に、絹は動きを止めた。
ボスも一緒なら、確かに必要ないかもしれない、と。
絹は胸ポケットから、それを取り出そうとした。
「いや、つけておきなさい」
しかし、ボスは止める。
「私はチョウの相手が忙しいから、ほかをゆっくり見ることはできないだろう」
帰ってきて録画を見る、と切に言うのだ。
「はーい」
絹は、素直にカメラをセットしたままにした。
「島村…人工衛星は撃ち落とせそうか?」
彼女の胸ポケットを確認した後、ボスは助手に向かってにこやかに言った――怖いことを。
「少し、位置的に難しそうですが、一基います…落としてみますか?」
「できれば、流星群にしたいからなあ」
「うーむ…期待にお応えしたいのですが、流れ星に見えるほど大きい人工衛星を複数、となると、難しいですね」
まってまって。
絹は、二人の会話に乾いた笑いを浮かべた。
相変わらず、物騒な相談をしている。
「明日、衛星落下がニュースになったら、みんな驚くんじゃないですか?」
彼女は、やんわりと止めてみた。
本気でやると言われたら、絹に止めようはないのだが。
「まあ、一基、当たって落ちただけでは、美しくないな…また別の機会にしよう」
「申し訳ありません」
ボスと島村は、絹の制止に関係なく、中止することにしたようだった。
さすがに、専門的かつ科学的アンモラルには、絹の入る余地がない。
「あ、その代わり」
島村が、ボスに言った。
「その代わり…最高の夜空を、先生に贈りますよ」
彼は、意味深な言葉を吐いた。