ワケあり!
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雨のバカー(>_<)

絹さんと一緒に、お弁当食べられないーっ
(T_T)/~

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 了からの泣きメールを見ながら、絹はお昼をどこで食べるか、考えなければならなかった。

 これから、本格的な梅雨だ。

 広場での食事も、難しくなるだろう。

 お弁当を、机の上に出しながら、一人で食べるかと考えかけた時。

「あれ、絹さん、今日は一人? 教室で食べるの?」

 将が、目ざとく聞いてくる。

「ええ、雨だし」

 絹は、残念な目で外を見た。

「へぇ、いつも外で食べてたんだ」

 将が、すっとぼけたことを言う。

 ん?

 絹は、その言葉にひっかかった。

 まさか、と。

「そう、いつも了くんと、広場で食べてるんだけど…」

 絹は、試しにそう言ってみる。

 彼の反応を見ながら。

「えっ!? 今まで、了と食べてたの?」

 ハイ、釣れたー。

 予想通りの展開に、絹は微笑みそこねた。

 あのおしゃべり末っ子が、お昼の件を黙り通していたのだ。

 なかなか大きい事実だった。

 他の兄弟が、乱入してくるのを阻止したかったのだろう。

 それだけ、あの時間を大切にしていると言うことだ。

「あんにゃろ…」

 記憶の中の弟に、将は毒づいている。

 帰ったら、兄にいじめられそうだ。

「それなら、今日はオレたちと食べない? 男ばっかりで悪いけど」

 気を取り直した将が、誘ってくれる。

 彼の傍に集まる男は、やはりさわやか系が多い。

 高尾みたいなのは、絶対にいない。

 しかし。

 さわやかとは言え、男の中に絹を誘っていいのか。

「じゃあ、お邪魔させてもらおうかな」

 どうして、将はこう、迂闊で甘いのだろう。
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