ワケあり!
「よぉ」
部屋に案内されると――京がいた。
「京…お前は呼んでないぞ」
チョウは、眉間を押さえる。
兄弟三人とも、朝から絡んでくるとは思わなかったのだろう。
しかし、京はすっと姿勢を正すと、チョウを無視してボスへと近づいたのだ。
「先日は、先生の天体望遠鏡を分解しようとして、失礼しました。是非、今日はオレも同席させてください」
そして、あいさつのつもりか、右手を出すのだ。
落ちたわ。
絹は、遠い目をした。
「勿論だよ、いくらでも見ていきたまえ!」
落ちたのは――ボス。
京の手をしっかと握り返し、彼の同席に許可印を押したのだ。
父親に許可を取らないで、ボスを落とす策士だった。
まあ。
チョウは警戒しているようだが、今日のは息子に分解されてもいいものばかりだ。
絹も口を挟まないで、その光景を見守った。
「すまんな、巧。わざわざ、オレに気を遣ってもらって」
絹のアシストで、荷物の中から、装置を出しているボスに、チョウは苦い響きを込めた。
何の見返りもいらないと、ボスが言ったせいだろうか。
「私には、研究を金に変える能力はない…いや、いらないんだ。ただ、私が作ったものを、お前がどう生まれ変わらせてくれるか…それが、見てみたい」
それが、二人の愛の結晶さっ!
絹は、ボスの本音をアテレコしていた。
京は説明をはじめるより先に、出された品を手に取って、食い入るように見ている。
「それはね…」
絹は、ボスの手伝いができるように、一通り島村にたたき込まれてきていた。
「それは、発電機よ…人間の体温を電力に変えられるの」
うちのマッドサイエンティストたちのいう、安全な、とはこのレベルだ。
しかし、使用分野を一歩間違えれば、確実に軍用クラス。
「人間の体温から電気を?」
「夏なら、外気温でもできるそうよ」
島村の受け売りだ。
京は、唖然と自分の手の中の製品を見つめていた。
部屋に案内されると――京がいた。
「京…お前は呼んでないぞ」
チョウは、眉間を押さえる。
兄弟三人とも、朝から絡んでくるとは思わなかったのだろう。
しかし、京はすっと姿勢を正すと、チョウを無視してボスへと近づいたのだ。
「先日は、先生の天体望遠鏡を分解しようとして、失礼しました。是非、今日はオレも同席させてください」
そして、あいさつのつもりか、右手を出すのだ。
落ちたわ。
絹は、遠い目をした。
「勿論だよ、いくらでも見ていきたまえ!」
落ちたのは――ボス。
京の手をしっかと握り返し、彼の同席に許可印を押したのだ。
父親に許可を取らないで、ボスを落とす策士だった。
まあ。
チョウは警戒しているようだが、今日のは息子に分解されてもいいものばかりだ。
絹も口を挟まないで、その光景を見守った。
「すまんな、巧。わざわざ、オレに気を遣ってもらって」
絹のアシストで、荷物の中から、装置を出しているボスに、チョウは苦い響きを込めた。
何の見返りもいらないと、ボスが言ったせいだろうか。
「私には、研究を金に変える能力はない…いや、いらないんだ。ただ、私が作ったものを、お前がどう生まれ変わらせてくれるか…それが、見てみたい」
それが、二人の愛の結晶さっ!
絹は、ボスの本音をアテレコしていた。
京は説明をはじめるより先に、出された品を手に取って、食い入るように見ている。
「それはね…」
絹は、ボスの手伝いができるように、一通り島村にたたき込まれてきていた。
「それは、発電機よ…人間の体温を電力に変えられるの」
うちのマッドサイエンティストたちのいう、安全な、とはこのレベルだ。
しかし、使用分野を一歩間違えれば、確実に軍用クラス。
「人間の体温から電気を?」
「夏なら、外気温でもできるそうよ」
島村の受け売りだ。
京は、唖然と自分の手の中の製品を見つめていた。