私と貴方と紫煙と単車
「大した自信だな…」
「あっ!!忘れてましたぁ〜」
「ん?どうした?」
「じゃじゃぁ〜ん♪かすたむこるく?って言うんですか?クラスの男子がちゃんぷろーどって雑誌読んでて、それをこの前見たら近所にそ〜ゆ〜お店が出来たらしくて、行ってみたんですよ!」
「櫻にチャンプロード……似合わねー」
「そんな事より!なんか派手な塗装したヘルメットがあったんで記念に作っちゃいましたぁ♪」
「高かっただろ?」
「ウン万円ですよ〜これで貯金が底つきましたよ〜魅柘姫さんが腰抜かすとアレなんで詳しくは言いませんけど♪」
「うわっ!酷いー!!まぁありがとな、櫻」
またもや、頭をくしゃくしゃと撫でられた。
毎度のことながら、櫻は嬉しくてたまらなかった。
「そろそろ行くか♪」
「ですねっ!」
櫻は、先程のカスタムコルクを被り、三つボタンをキチンとしめる。
スタンドを戻し、ヴィトン柄の三段シートに座ると、セルを回した。
━━キュキュッブァンブー━━
直管マフラーが、辺りに響く。
「あひゃ〜久しぶりだこの音!懐かしいー!!つかよ、エンストしないで、行けるのか?」
「大丈夫ですっ!多分…さっ、乗ってください!今日は飛ばしますよぉ〜」
そう言うと、スロットルを二三度捻った。
いつもと変わらず良い音だ。
「しっかり掴まって下さいよぉ〜」
「おうよ」
ロングタンデムバーに掴まって、タンデムステップに力を入れる。
アクセルを開けすぎ、ウィリーしてしまった。
「おっとっと!危なっかしいなぁ〜おい」
「気にしない気にしない」少年院の前の長いストレートを軽快にダブルアクセルをし、飛ばしていく。
━━フォーンバンバンブー━━
「櫻、お前やたらとばすなぁ〜」
「魅柘姫さんが帰ってきて、嬉しいんですもん♪」
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