私と貴方と紫煙と単車
真夏の太陽みたいな眩しい笑顔を振り撒き、スロットルを捻る。
櫻の優しい笑顔が、魅柘姫には、愛おしくたまらなかった。
「お〜い櫻〜?」
「なんですか?」
「ヤニきれちった!コンビニ寄ってくれ」
「未成年なんですから!ダ・メ・で・す!!」
「ん〜いいぢゃんかぁ!んぢゃ腹減った」
「まぁそれならいいですけど……その前にお金あるんですか?」
「金?あるわけねぇ〜じゃん!」
(悪いけど、この人アホだ……)
「無いなら我慢しましょうねぇ〜家についたら何か作りますから♪」
「ならいぃや」
二人ゎ急いで櫻の家へ向かった。





櫻の家に着くと、庭の一角に青いビニールシートでできた小さなビニールハウスがあった。
「久しぶりだなぁ〜さて櫻ん家。あれ?あんな小屋あったか?」
「あぁ〜アレゎですねぇ見れば分かりますよ♪」
ガサッ
紐で止めてあるだけの入り口を開けると、工具やら、パーツやらでごった返していた。
ふと、一番奥に目をやると、一台の単車が停めてあった。
「KAWASAKI ゼファーχ」空冷4気筒DOHC4バルブの言わずと知れた名車だ。見る限り、かなり弄ってある。
オイルクーラー、マフラー、フェンダー、ポイントカバー、アルフィンカバー、テールカウルetc…
魅柘姫は、開いた口が塞がらなかった。

「お前……コレどうしたんだよ…」
「私の母が、レースをしてたらしくて、倉を漁ってたら出て来たんですよ。外装は、ちょこちょこイジってますが、中身はヤバイそうです!」
「ヤバイってなにが?」
「レースに使ってたまんまらしいく、はいかむ?とかきゃぶれたーやらぼああっぷ、ぽーと加工とかよく分かりませんが、凄いそうです。」
そのゼファーは、色は薄いラメパープル。
結構落ち着いた濃さで全然派手ではない。
外装は、フルBEET、エアロシャークがなんともカッコいい。
それにセパハンもついていて、明らかに族車ではない。
七色に輝く太く延びたエキパイ。
そこからシュッとスリムになり延びるフロントパイプ。
全てチタンで作られた、美しい焼き色を魅せるサイレンサー。
直管も良いが、こちらもまた、良い音を響かせそうだ。
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