私と貴方と紫煙と単車
「なぁ櫻、コイツに乗ってもいいか?」
「全然いいですけど、車検きれてますよ?」
「オレのインパルスからナンバー外しゃいい♪」魅柘姫は、慣れた手つきでナンバープレートを外すと、また慣れた手つきでナンバープレートをつける。
「うっし♪出来た!」
そう言うと、櫻から貰ったカスタムコルクを被って、シートに跨った。
ぐぅ〜
根性の無い腹の虫が鳴きやがった。
「ん〜櫻、メシ」
「はいはい、仕方ない人です♪」
櫻の家にあがるのは今日で二度目だ。
「ただいまぁ〜」
家の中は、あの時と変わっていなかった。
「あれ?妹さんわ?」
「部活の夏期合宿に行ってますよ」
「へぇ〜そっか」
「何食べます?」
「んぁ〜なんでもいいやぁ」
魅柘姫は、おもむろにテーブルの上のマンガに手を伸ばした。
「ん〜それじゃ焼きそばにでも作りますか♪」
櫻は、二階からエプロンを持ってきた。
エプロンを身につけ、冷蔵庫から、もやし、キャベツ、ピーマン、豚肉を取り出す。
キャベツを半分に切ったときた。
「ひゃっ!!」
魅柘姫が後ろから、キャベツの乗ったまな板を覗き込むように、櫻に抱き付いた。
「ちょっ!魅柘姫さんっ…」
「別に嫌じゃないだろ」
魅柘姫の問い掛けに、顔を真っ赤にして頷く。
唇に何気なく置かれた人差し指が愛嬌を醸し出している。
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