私と貴方と紫煙と単車
「おめぇよ、この前はヤってくれたじゃねぇか!あん時の借り、返しにきたぜ!!」
「あぁ♪あん時のザコ共ね♪」
「ザ、ザコだとぉ〜?なめやがってこの野郎!!」
「だからなんだ!ザコはザコだろうが!!それ以上でもそれ以下でもねぇ!」
先ほどまでにこやかだった魅柘姫の表情が、獲物を捉える鷹のような鋭い目に変わった。
「おめぇ等……無傷で帰れると思うなよ……」
売られた喧嘩は買わずにはいられぬ性格故、バキバキと指を鳴らし短ラン小僧の一人を捕まえると、首根っこを掴み、力いっぱい校門の土台に投げつけた。
顔面からもろに叩きつけられ、口からは、唾液と血液と数本の歯が飛び出た。
それを見た残りのヤツ等が逃げようとしたが、魅柘姫から逃げれる筈がない。
1人は、容赦ない本気のストレートをもろぶち込むと、グシャと鈍い音と共に、鼻が曲がり、おびただしい量の鼻血がでた。
1人は、腹に思いっきり膝蹴りが入り、嘔吐して、そのまま倒れ込んだ。
口元にかかった血液を舌でペロリと舐めながら昇降口で吸っていた煙草を捨てると何食わぬ顔で上履きに履き替え、体育館へと進んでいった。そんな魅柘姫を後ろから見ていた少女がいた。
そう、あの櫻だ。
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