†箱庭†~ブロックルーム『1229』~
秘密のゲーム
最悪な一日だった。
悪夢から目が覚めると、もう陽はさがりはじめていた。
せっせと帰り支度をしていたら用務員のおじさんに、早く帰れと怒られるし……
昼寝を二度したから夜はなかなか眠れなかったし……
ただ不思議だったのは…
唇に残された傷――
あれは夢…だったんだよね……?
朝のリビングルームの、テレビではまた‘神隠し’と大きくテロップを流しニュースを読み上げる。
「怖いわねぇ。また、20代の女性ですって…あんたも気を付けなさいよ。帰りあまり遅くならないでちょうだいね。」
母が心配そうに私に目を向ける。
「私には関係無いよ。こんな世の中だから便乗する家出とかもあるんじゃないのぉ?」
そう適当に、返事してマーガリンのたっぷりついた食パンをほおばる。