First Kiss
「メール…シカトすんなよ」
あたしは有くんからのメールの返事を返していなかった。
『だって…有くんしつこいよ…。』
「俺、本気なんだけど。」
真剣な顔で、有くんが腕に込める力が強くなっていく。
『…痛いよ。それに、あたしは好きな人と付き合いたいの!有くんのことは好きじゃない!!』
「俺、近藤が付き合ってくれるならそれでもいいよ。」
有くんが少し淋しそうな顔をした。
『だめだよ。あたしは無理だから…。』
「でもっ…」
『あたし今、気になる人がいるの!他高の先輩なの!有くんじゃないの。』
あたしがそう言うと、有くんはゆっくりと手を離してボソッと「ごめん。」と言った。
『もうこんなストーカーみたいなことしないで…。』
小さな声で言った。
有くんはコクンと頷いて、もう一回「ごめん。」と言って帰っていった。
『はぁ〜〜…』
大きな溜め息が出た。
部屋に戻ると、あたしはすぐ眠りについてしまった。
*