First Kiss



何度も何度も唇を重ね合った。




別れているのに…









『柚居はあたしのこと好き?』


酔っ払っているから、勢いでなんでも聞ける。






「ん〜…好きかもしんない。」










酔っ払っていても、疑問はたくさん頭の中に浮かんでくる。





(…“かも”って何?!)











でも、あたしが勢いで何でも聞けるのと同じように、柚居も勢いなのかもしれない。




そんな風に考えたら、“キスをしている”という事実以外は認めたくなかった。










『柚居のキス好き〜♪』


「俺も柚芽とのキス好き〜♪」








(じゃあ何で別れなきゃいけなかったの?)




そんなことを思っても、聞く勇気なんてあたしにはなかった。










たくさんキスをした。


そして、酔いがさめる前に終電になってしまうため帰ることに。











付き合っている頃と違うこと……



それは、あたしの最寄り駅まで一緒には行ってくれないということ。



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