First Kiss

傷心




潤に相談に乗ってもらった後、祥太に振られてしまった陽海は、泣きながら先に帰ってしまった。



潤と祥太もあたしとは方向が違う。


でも祥太が駅前まで送ってくれた。





『あのさぁ…あたしまだ柚居のこと好きなんだけど…。』


「分かってる。柚芽が柚居くんのこと諦めるまで待とうと思ってたんだけど…待てなかった。」





祥太はそう言って、ちょっと困った顔をしたあたしの頬に軽くキスをした。



『なっ…!?』


「じゃ、おやすみ♪」





驚いて頬に手を当てたまま立ち尽くしてしまって、あたしは帰って行く祥太の背中をじっと見ていた。



駅前で頬にキスされて、周りにいた人に見られて恥ずかしかった。









柚居と別れてから初めて会って、お酒を飲んだ日の帰り…


酔っ払ったあたしは、この駅前で柚居とバイバイする時、柚居の頬にキスをした。


それを思い出して、きっとこんな気持ちだったのかな……なんて考えていた。







そして…―――

絶対に揺るがないと決めた気持ちを、あたしは無理矢理揺るがそうとしていた…



*
< 63 / 72 >

この作品をシェア

pagetop