First Kiss
傷心
潤に相談に乗ってもらった後、祥太に振られてしまった陽海は、泣きながら先に帰ってしまった。
潤と祥太もあたしとは方向が違う。
でも祥太が駅前まで送ってくれた。
『あのさぁ…あたしまだ柚居のこと好きなんだけど…。』
「分かってる。柚芽が柚居くんのこと諦めるまで待とうと思ってたんだけど…待てなかった。」
祥太はそう言って、ちょっと困った顔をしたあたしの頬に軽くキスをした。
『なっ…!?』
「じゃ、おやすみ♪」
驚いて頬に手を当てたまま立ち尽くしてしまって、あたしは帰って行く祥太の背中をじっと見ていた。
駅前で頬にキスされて、周りにいた人に見られて恥ずかしかった。
柚居と別れてから初めて会って、お酒を飲んだ日の帰り…
酔っ払ったあたしは、この駅前で柚居とバイバイする時、柚居の頬にキスをした。
それを思い出して、きっとこんな気持ちだったのかな……なんて考えていた。
そして…―――
絶対に揺るがないと決めた気持ちを、あたしは無理矢理揺るがそうとしていた…
*