心から恋してる




─────その時。


「陽太?帰ってきたのか」

曲がり角で、黙ってこっちを見ていた。


タタッと走ってきて、俺に抱きついた。

「奏、姉ちゃん…姉ちゃんが…」
「は!?」
「死んじゃった…」



「お前何言って…」
「そこにいるの……、姉ちゃん、死んじゃった…」




そんなはず…

そんなはず、あるわけ…


「……っ…
夏帆!?夏帆…!」



道路の隅に、ぐったりと倒れていた。



< 97 / 144 >

この作品をシェア

pagetop