踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
「昨夜、殺された子だよ。お前中学生とか好みだよな?」
 刑事の声が強くなる。
 加瀬は暫くその写真を見つめていたが、やがて口を開いた。その口調は刑事達を見下しているようでもあった。
「こんな子、僕の趣味じゃない」
 加瀬の言葉はこれまでの態度と違って、自信を持っているようだった。
「趣味じゃない?」
「ああ、そうだよ、僕はこんな気の強そうな子は好きじゃない。もっと真面目で大人しそうな子が好きなんだ」
 加瀬はそう言ったきり再び口を閉ざしてしまった。
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