踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
病室の中、美鈴はベッドの上で静かに寝息をたてている。その傍らに娘を愛おしく見つめている美里と心配そうに見つめている恵が立っていた。恵はまだ自分を責めているのだろう、その表情は堅いままだった。
「あまりご自分を責めないでください。娘はこうして無事だったのですから」
恵を気遣ったのだろう、美里は優しく声をかけた。
「ありがとう御座います。でも娘さんが傷を負ったのは事実ですから…」
恵は目を伏せていた。
「でも、娘がそんな場所にいたのも良くなかったのですから…」
二人の交わす会話は重く沈んでいた。
美鈴は穏やかに眠っていた。もう髪も赤くなく普段の彼女に戻っている。美里は彼女の髪に触れながら独り言のように恵に話し始めた。
「これからあなたたちは信じられないことを体験しするかもしれません。娘がいた場所に結界が張られていた以上、相手はこの世のものではないのですから」
「それはどういうことですか?」
恵には美里が言っていることの意味が判らなかった。
「うまくお話しできません。でも、これから娘が話すだろう言葉はきっとあなた方には理解できないと思います。けれどもそれは娘が実際に体験した事実です」
美里は断言するように言った。
「娘はきっと明日には,目を覚ますでしょう。その時娘が話すことを信じてあげてください」
恵には美里の言葉がどこか別の世界のもののように感じられた。きっと美鈴は自分には信じられないことを話すのだろう。その時、自分はそれを受け止めることが出来るのだろうか?zそして、小島や他の刑事達にうまく説明できるのだろうか?
恵の中から自信というものが消えていった。
「あまりご自分を責めないでください。娘はこうして無事だったのですから」
恵を気遣ったのだろう、美里は優しく声をかけた。
「ありがとう御座います。でも娘さんが傷を負ったのは事実ですから…」
恵は目を伏せていた。
「でも、娘がそんな場所にいたのも良くなかったのですから…」
二人の交わす会話は重く沈んでいた。
美鈴は穏やかに眠っていた。もう髪も赤くなく普段の彼女に戻っている。美里は彼女の髪に触れながら独り言のように恵に話し始めた。
「これからあなたたちは信じられないことを体験しするかもしれません。娘がいた場所に結界が張られていた以上、相手はこの世のものではないのですから」
「それはどういうことですか?」
恵には美里が言っていることの意味が判らなかった。
「うまくお話しできません。でも、これから娘が話すだろう言葉はきっとあなた方には理解できないと思います。けれどもそれは娘が実際に体験した事実です」
美里は断言するように言った。
「娘はきっと明日には,目を覚ますでしょう。その時娘が話すことを信じてあげてください」
恵には美里の言葉がどこか別の世界のもののように感じられた。きっと美鈴は自分には信じられないことを話すのだろう。その時、自分はそれを受け止めることが出来るのだろうか?zそして、小島や他の刑事達にうまく説明できるのだろうか?
恵の中から自信というものが消えていった。