踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
小島は再び吉田家の居間にいた。
目の前には依然と同じく真人が座っていたが美子はそこにはいなかった。具合が良くないので自室で寝込んでしまったそうだ。
「奥さん、大分辛そうでしたね」
小島は真人に気遣っているところをワザと見せた。二人が何時から何処にどれだけの時間いたのかを探り出そうとしているのだ。
「ええ、あまりよくありません。何しろ少しでも私が目を離すと手首を切ってしまいますので…」
「やはり娘さんのことが?」
「よほど堪えているのでしょう。それ以来私は妻の傍から離れられません。私はそれで会社を辞めました。今は貯金を切り崩して暮らしています」
痛ましい話しだ、小島は声に出さずに口にした。
「それでは今日も」
「はい、少し目を離した途端、切ってしまいましたので急いで病院に向かいました」
「それは何時くらいでしょう?」
「午後一時くらいでした」
「病院はどちらに」
「市民病院ですそこの外科にお世話になりました」
午後一時くらいということは小島達が犯人と接触した頃だ。場合によっては小島の推理が覆ってしまう。
小島は吉田家を辞すと急いで携帯電話で恵を呼び出した。彼女は今、そこにいるはずなのだ。
目の前には依然と同じく真人が座っていたが美子はそこにはいなかった。具合が良くないので自室で寝込んでしまったそうだ。
「奥さん、大分辛そうでしたね」
小島は真人に気遣っているところをワザと見せた。二人が何時から何処にどれだけの時間いたのかを探り出そうとしているのだ。
「ええ、あまりよくありません。何しろ少しでも私が目を離すと手首を切ってしまいますので…」
「やはり娘さんのことが?」
「よほど堪えているのでしょう。それ以来私は妻の傍から離れられません。私はそれで会社を辞めました。今は貯金を切り崩して暮らしています」
痛ましい話しだ、小島は声に出さずに口にした。
「それでは今日も」
「はい、少し目を離した途端、切ってしまいましたので急いで病院に向かいました」
「それは何時くらいでしょう?」
「午後一時くらいでした」
「病院はどちらに」
「市民病院ですそこの外科にお世話になりました」
午後一時くらいということは小島達が犯人と接触した頃だ。場合によっては小島の推理が覆ってしまう。
小島は吉田家を辞すと急いで携帯電話で恵を呼び出した。彼女は今、そこにいるはずなのだ。