踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
程なくして教員達が戻ってきた。小島は野本の姿を見つけると彼を捕まえた。
「野本先生、少しお時間をいただけませんですかね?」
刑事に声をかけられて野本はあからさまに迷惑そうな表情をした。
「いえ、次の授業がありますので」
「そう仰らないでください。確認したいことがあるのです。御協力ください」
野本はまだ抵抗しようとする。
「大事なことです…」
小島は言葉の感じとは裏腹に野本の目を睨みつける。もう抵抗は出来ない、野本は観念して教科書類を自分の机に置き掌を上に向けて溜息をついた。
「それでは屋上にでも行きますか」
野本は職員室の扉に向かい、小島もそれに続いた。扉を出る時、小島は視界の隅に恵子の姿を捕らえると振り向きざまに声をかけた。
「そうだ、吉田先生もご一緒に来てくれますか?」
恵子は溜息をついて彼に従った。
屋上には誰もいなかった。誰にも訊かせたくない話をするにはもってこいの環境だった。
「こういうところに出ると気持ちが良いですね」
小島はそれを仰いだ。だが、それほど快適だとはいえなかった。空が曇っていたからだ。
「どんなお話しですか?申し訳ないのですが、あまり時間もありませんので」
野本が不満を小島にぶつけてくる。
小島は二人の方を振り返った。
「先生方、何か隠していませんか?」
小島の言葉に二人は脅えた。一体この男は『あのこと』を何処まで知っているのだろうか…。
「今年の春、女子生徒が一人、首を吊って自殺していますね?」
野本と恵子が息を呑む。
「その子の名前は吉田沙保里。自殺の原因は虐めによるもの」
小島は二人を追い詰めていく。
「虐めていたのは三上、伊本、野川、良いだの四人の生徒。そのうちの三人が殺された」
小島は更に畳み込む。
「あなた方は虐めという事実を隠した。だが一連の事件はこの自殺が元になっている!」
小島は証拠品の三上の携帯電話をぶつけるように彼等に翳した。
そこにはあのメッセージが表示されていた。
『私は殺された。
だから、おまえを殺す。』
程なくして教員達が戻ってきた。小島は野本の姿を見つけると彼を捕まえた。
「野本先生、少しお時間をいただけませんですかね?」
刑事に声をかけられて野本はあからさまに迷惑そうな表情をした。
「いえ、次の授業がありますので」
「そう仰らないでください。確認したいことがあるのです。御協力ください」
野本はまだ抵抗しようとする。
「大事なことです…」
小島は言葉の感じとは裏腹に野本の目を睨みつける。もう抵抗は出来ない、野本は観念して教科書類を自分の机に置き掌を上に向けて溜息をついた。
「それでは屋上にでも行きますか」
野本は職員室の扉に向かい、小島もそれに続いた。扉を出る時、小島は視界の隅に恵子の姿を捕らえると振り向きざまに声をかけた。
「そうだ、吉田先生もご一緒に来てくれますか?」
恵子は溜息をついて彼に従った。
屋上には誰もいなかった。誰にも訊かせたくない話をするにはもってこいの環境だった。
「こういうところに出ると気持ちが良いですね」
小島はそれを仰いだ。だが、それほど快適だとはいえなかった。空が曇っていたからだ。
「どんなお話しですか?申し訳ないのですが、あまり時間もありませんので」
野本が不満を小島にぶつけてくる。
小島は二人の方を振り返った。
「先生方、何か隠していませんか?」
小島の言葉に二人は脅えた。一体この男は『あのこと』を何処まで知っているのだろうか…。
「今年の春、女子生徒が一人、首を吊って自殺していますね?」
野本と恵子が息を呑む。
「その子の名前は吉田沙保里。自殺の原因は虐めによるもの」
小島は二人を追い詰めていく。
「虐めていたのは三上、伊本、野川、良いだの四人の生徒。そのうちの三人が殺された」
小島は更に畳み込む。
「あなた方は虐めという事実を隠した。だが一連の事件はこの自殺が元になっている!」
小島は証拠品の三上の携帯電話をぶつけるように彼等に翳した。
そこにはあのメッセージが表示されていた。
『私は殺された。
だから、おまえを殺す。』