踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
ガムテープで両手、両足、口の自由を奪われ、美鈴は猛スピードで走る車の助手席に座らされていた。隣の運転席には、小太りで、ぼさぼさの長い髪に無精髭の男が目を血走らせて運転している。
その男は加瀬拓也だった。
加瀬は以前から少女を自分の手に入れたいと思っていた。けれども彼の小心さがそれを押しとどめていた。それが実行してみると案外うまくいってしまった。数人いた通行人は加瀬の犯行をまるで気づかないように容認していた。そうだ、彼等は面倒なことに巻き込まれたくないのだ。
もっと早くやってしまっても良かったのだ。加瀬は自分の小心さを呪っていた。
少女を自分の自由に出来、加瀬の心は浮き足立っていた。その反面、追跡者があるのではないかという不安が背後から迫ってくるような感じがした。
小刻みにギヤを入れ替えてアクセルを深く踏み込む。車はその指令に基づき加速していく。
速度が乗ってきた時、加瀬は自分の不安が杞憂に過ぎないものだと感じてきて、次第に落ち着きを取り戻してきた。細かく変動を繰り返してきた排気音が一定になっていく。加瀬はちらりと助手席の方に目をやった。
そこにはスカートが少しめくれ上がってため露出した清らかな太ももが覗いていた。触れてみたいという感情が突き上げ、加瀬は左手を太ももにのせ、撫で回した。
美鈴の背中に悪寒が走った。
その男は加瀬拓也だった。
加瀬は以前から少女を自分の手に入れたいと思っていた。けれども彼の小心さがそれを押しとどめていた。それが実行してみると案外うまくいってしまった。数人いた通行人は加瀬の犯行をまるで気づかないように容認していた。そうだ、彼等は面倒なことに巻き込まれたくないのだ。
もっと早くやってしまっても良かったのだ。加瀬は自分の小心さを呪っていた。
少女を自分の自由に出来、加瀬の心は浮き足立っていた。その反面、追跡者があるのではないかという不安が背後から迫ってくるような感じがした。
小刻みにギヤを入れ替えてアクセルを深く踏み込む。車はその指令に基づき加速していく。
速度が乗ってきた時、加瀬は自分の不安が杞憂に過ぎないものだと感じてきて、次第に落ち着きを取り戻してきた。細かく変動を繰り返してきた排気音が一定になっていく。加瀬はちらりと助手席の方に目をやった。
そこにはスカートが少しめくれ上がってため露出した清らかな太ももが覗いていた。触れてみたいという感情が突き上げ、加瀬は左手を太ももにのせ、撫で回した。
美鈴の背中に悪寒が走った。