踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
「もう、やめて…」
 跪き、震えている美佳は力なく懇願した。
 自分達は一体何をしてきたのだろうか。
 人を玩具のように扱い、楽しんできた。
 それを受けてきた相手のイメージを直接心に送り込まれ恐怖といたたまれない思いが美佳の心に広がっていく。
 私達は沙保里を踏みにじってきたのだ。
 迫り来る恐怖の中で美佳はやっとその事に気づいた。
 だが、それはもう遅かった。
 目の前の沙保里は美佳を決して緩そうとはしていなかった。
 彼女の目にかつての美佳が持っていた残忍な光があった。
「どうして?これからが楽しい思い出じゃない」
 沙保里の目が冷たく笑った。
「そうでしょう、私達の最後のゲーム」
 沙保里の最後のイメージが送り込まれた。
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