踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
闇の中、『紅い菊』は音がした方を見上げている。ガラスが割れた窓から蛍光灯の光が漏れている。
そこから赤黒い影が引力に逆らってゆっくりと降りてくる。不敵な笑みを浮かべて『紅い菊』の方を睨みつけている。
そんな影を『紅い菊』は美鈴の記憶の中で知っていた。
影は吉田沙保里だった。
影は『もの』だった。
地上に降り立った影は『紅い菊』に向かっていった。
「また私達の邪魔をする気なの?」
沙保里の顔に怒りの表情が浮かんだ。
『紅い菊』は沙保里を睨みつけて応える。
「『もの』お前を待っていた」
二人の間に緊張が走った。
黒い人物はナイフを振りかざして小島に襲いかかった。
一度、二度、三度と鋭い光が闇を切り裂いていく。小島はその攻撃を紙一重で躱してしていく。
小島は圧倒的に不利だった。相手は凶器を持っているが、こちらは丸腰だった。更に恵達を守らなければならなかった。
何度か相手の攻撃を躱しているうちに、黒い人物のナイフが小島を捕らえ始める。
小島の息が次第にあがっていく。
黒い人物は攻撃の手を緩めなかった。
『紅い菊』と吉田沙保里は互いに睨み合っていた。念を込め、相手の隙を狙っていた。
どちらか先に動いた方が負ける。
野性的な勘で二つの存在はそう感じていた。
すぐ近くで小島という刑事が黒い人物と闘っているのに、二人の間は静寂に包まれていた。
「鏡さん、どうして私の邪魔をするの。あいつらが生きていれば、また誰かが虐められるのに」
「私は鏡美鈴ではない」
『紅い菊』は沙保里を睨みつけながら応える。
「じゃあ誰だというの?」
「私は『紅い菊』、『もの』を屠る(ほふる)者」
『紅い菊』が微笑んだ。
そこから赤黒い影が引力に逆らってゆっくりと降りてくる。不敵な笑みを浮かべて『紅い菊』の方を睨みつけている。
そんな影を『紅い菊』は美鈴の記憶の中で知っていた。
影は吉田沙保里だった。
影は『もの』だった。
地上に降り立った影は『紅い菊』に向かっていった。
「また私達の邪魔をする気なの?」
沙保里の顔に怒りの表情が浮かんだ。
『紅い菊』は沙保里を睨みつけて応える。
「『もの』お前を待っていた」
二人の間に緊張が走った。
黒い人物はナイフを振りかざして小島に襲いかかった。
一度、二度、三度と鋭い光が闇を切り裂いていく。小島はその攻撃を紙一重で躱してしていく。
小島は圧倒的に不利だった。相手は凶器を持っているが、こちらは丸腰だった。更に恵達を守らなければならなかった。
何度か相手の攻撃を躱しているうちに、黒い人物のナイフが小島を捕らえ始める。
小島の息が次第にあがっていく。
黒い人物は攻撃の手を緩めなかった。
『紅い菊』と吉田沙保里は互いに睨み合っていた。念を込め、相手の隙を狙っていた。
どちらか先に動いた方が負ける。
野性的な勘で二つの存在はそう感じていた。
すぐ近くで小島という刑事が黒い人物と闘っているのに、二人の間は静寂に包まれていた。
「鏡さん、どうして私の邪魔をするの。あいつらが生きていれば、また誰かが虐められるのに」
「私は鏡美鈴ではない」
『紅い菊』は沙保里を睨みつけながら応える。
「じゃあ誰だというの?」
「私は『紅い菊』、『もの』を屠る(ほふる)者」
『紅い菊』が微笑んだ。