踏みにじられた生命~紅い菊の伝説1~
黒い人物は目標を変え、恵に襲いかかった。固く握りしめた拳を次々と繰り出し恵を追い詰めていく。
恵はそれを何とか躱していくが、何度目かに繰り出された拳が彼女の顎を捕らえ、堪えきれずに倒れ込んでしまった。その上に覆い被さってくる黒い人物の腹部を恵は思いきり蹴り上げ、それが体勢を崩している間に立ち上がって隙の内容に身構える。
黒い人物も体勢を立て直すと大きく振りかぶって右の拳を繰り出してきた。
恵はそれをすばやく躱し、目の前に伸ばされたその腕を取ると勢いよく足を繰り出し、黒い人物を投げ飛ばした。背中をしたたかに路面に打ち付けた黒い人物の右腕を捻りあげ、それの半身を起き上がらせた。
「嬢ちゃん、確保だ!」
塀を支えにして起き上がった小島が叫んだ。
恵はスーツのポケットから手錠を取り出すと黒い人物の手首の自由を奪った。
「二十三時十八分、傷害の現行犯で逮捕する」
恵に腕を決められている黒い人物に激痛を耐えながら歩いてきた小島がそれの被っている目出し帽を剥ぎ取った。
黒い人物の顔が晒される。
その顔を見た小島と恵は愕然とする。
それは予想もしていなかった人物だった。
黒い人物は吉田恵子だった。
恵はそれを何とか躱していくが、何度目かに繰り出された拳が彼女の顎を捕らえ、堪えきれずに倒れ込んでしまった。その上に覆い被さってくる黒い人物の腹部を恵は思いきり蹴り上げ、それが体勢を崩している間に立ち上がって隙の内容に身構える。
黒い人物も体勢を立て直すと大きく振りかぶって右の拳を繰り出してきた。
恵はそれをすばやく躱し、目の前に伸ばされたその腕を取ると勢いよく足を繰り出し、黒い人物を投げ飛ばした。背中をしたたかに路面に打ち付けた黒い人物の右腕を捻りあげ、それの半身を起き上がらせた。
「嬢ちゃん、確保だ!」
塀を支えにして起き上がった小島が叫んだ。
恵はスーツのポケットから手錠を取り出すと黒い人物の手首の自由を奪った。
「二十三時十八分、傷害の現行犯で逮捕する」
恵に腕を決められている黒い人物に激痛を耐えながら歩いてきた小島がそれの被っている目出し帽を剥ぎ取った。
黒い人物の顔が晒される。
その顔を見た小島と恵は愕然とする。
それは予想もしていなかった人物だった。
黒い人物は吉田恵子だった。