眼鏡を外す瞬間に。【密フェチ】
ドンッ、と肩がぶつかる。
「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
私は慌ててぶつかった相手に声をかける。
「―――ああ、大丈夫」
相手の男性が、両手に持った資料を抱え直してそう言った。
「でも神田さん、眼鏡ずれてますよ?」
私がその人に代わって直そうと手を伸ばすと、
「どうも」
その手をかわす様に顔を背け、肩口で眼鏡の位置を直してしまった。
そしてそのまま、行ってしまう。
「あ……」
今日も、失敗した。