俺様の運命の女神
ドクドクドクドクッ…。
……鳴り止みそうにない。
硬直する俺の服を掴んで、
「先輩?具合が悪いならまた、今度にしましょう?」
彼女は気遣って笑顔を見せた。
「いやっ…別に何ともない…」
「そうですか?」
「あぁ……」
俺は掴まれた腕を掴んで手に握り直し、
彼女に表情を悟られないように
少し斜め上を見ながら歩き出した。
生まれて初めての『デート』
緊張するのも無理はない。
俺は心の中で…
『落ち着け…落ち着け…』と唱えながら
彬に教わったように、
彼女の歩くペースに合わせて
ゆっくり…ゆっくり…
肩を並べて歩いた。