アクセサリー
「はあ……」
 彩乃はパソコンの画面を見ながら、ため息をついてしまう。そういえば、今日の恋愛運は良かっただろうか。朝のニュースでチェックするのを忘れていた。
「こんなことしても……」
 占いの結果に落ち込んでしまう自分に、こんなものを信じるなと言い聞かせる。
 こんな無料の占いに運命を調べても仕方がないことは分かっている。診断結果が良ければ多少勇気がでるかもしれないが、悪ければ逆効果だ。こんなものは見ない方がいいに決まっている。そんなことは分かっているが、ついつい占ってしまう。
 隆一の誕生日はいつだろう?
 姓名のほかに生年月日も入力した方がより信頼できる診断結果になるのではないだろうか。
 他のサイトでも調べようとも思い、ネットサーフィンしていたが、
「だめだめ」
とやめた。占いに頼る行為は現状に自信がないからだ。弱弱しい自信しかないから、占いの良い結果を見て、自信をつけたいのだ。占いの結果が悪ければ、良い結果の占いを探して、また診断してしまうのだ。こんなことしても何の意味もない。二次元の世界に入り浸って良いことはない。気持ちが暗くなってしまうだけ。隆一は二次元の世界にいない。現実の世界にいるのだ。彩乃はパソコンの電源を切って、彩乃は直美と待ち合わせの食堂に向かった。
 
「食欲ないじゃん。彩乃」
 直美が心配そうに見つめる。
「ああ、うん。ごめん……」
 直美の話を聞いているようで聞いていない。なぜ「ごめん」と謝ってしまったのかも分からない。
 直美はカルボナーラをフォークでからめとる。
「彩乃さ、細いんだから。そんくらいは食べないと」
 そう言いながら彩乃の小さい弁当箱を指す。
 彩乃は学食で昼食をとらずに、弁当だ。とても小さくてかわいらしいブルーの弁当箱だ。
 昼食代を節約したい、料理ができる自分でありたい、学食に魅力を感じない。そんな理由で弁当にしていた。 以前は母親が作ってもらっていたが、最近は自分で作っている。
「そんなに一食の量もさ、多いわけじゃないじゃん。やせたいのは分かるけど、彩乃はもともと細いんだし」
 以前から直美はほっそりした彩乃のことをうらやましがっていた。直美がとりわけ太っているわけではないのだが。
「ありがとう。でも今日はそんな気分じゃなくて」
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