アクセサリー
12
隆一たちが教室に入ってセッティングを始めているうちに、観客は十数人に増えていた。特に女の子が増えたようだ。トモヒロさんのファンに違いない。
玄太郎はドラムに座って、自分に合わせてイスやシンバルの位置を調整する。トモヒロさんはアンプにつなげてベースを親指でボンボン鳴らす。徳さんは気持ちを落ちつけるようにマイクを持って目を閉じている。
隆一はギターをかまえて観客側を見つめた。数えれば二十八人。飢魔愚0からの観客が五人。女の子が十六人。徳さんの友達らしき男女が六人。今年はピカチュウではなく普通の格好をしたピカ子がいた。
ブラウンのワンピースに身を包んだピカ子は普通の女の子に見えた。ピカチュウの格好をしているときは少し変な女の子に見えたが、服装次第で人の印象は変わるものだ。
隆一は手ならしもかねて適当なイントロフレーズをジャカジャカ弾いた。
『Deep Purple』の『Smoke on the water』。『NIRVANA』の『Smells Like teensprit』。
観客の中に洋楽ファンがいるようで、この楽曲に反応し、身を乗り出す人がいた。
隆一は調子に乗って、
ジャッ、ジャッ、ジャー……、ともう一度弾く。すると、
「ディープ・パープル好きなんだよね」
という声が聞こえる。
残念ですが、この曲は演奏しません。隆一は心の中で呟いた。
そのときドアが開いて女の子の二人連れがやってきた。隆一の視線は反射的にそっちに向かった。けっこうかわいい二人だ。きれいな足をしているじゃないか、なんて思ったり。
ギターに意識を戻そうとしたとき、一人の女の子が隆一に向って手を振った。誰だろう? 隆一は最初分からなかったが、誰だ? と、じっと顔を見つめると、
「あっ」
と、思わず声に出してしまった。それは彩乃だったのだ。隆一はパーカーやジーンズ姿の彩乃しか知らない。スカートやパンプスの大人っぽい服装でおどろいてしまう。まるで別人に、とてもかわいらしく見えた。隆一はしばらく彩乃に釘づけになっていた。
「そろそろいい?」
徳さんが隆一たちを見ました。彩乃に見とれていた隆一は、はっと我にかえる。
玄太郎はドラムに座って、自分に合わせてイスやシンバルの位置を調整する。トモヒロさんはアンプにつなげてベースを親指でボンボン鳴らす。徳さんは気持ちを落ちつけるようにマイクを持って目を閉じている。
隆一はギターをかまえて観客側を見つめた。数えれば二十八人。飢魔愚0からの観客が五人。女の子が十六人。徳さんの友達らしき男女が六人。今年はピカチュウではなく普通の格好をしたピカ子がいた。
ブラウンのワンピースに身を包んだピカ子は普通の女の子に見えた。ピカチュウの格好をしているときは少し変な女の子に見えたが、服装次第で人の印象は変わるものだ。
隆一は手ならしもかねて適当なイントロフレーズをジャカジャカ弾いた。
『Deep Purple』の『Smoke on the water』。『NIRVANA』の『Smells Like teensprit』。
観客の中に洋楽ファンがいるようで、この楽曲に反応し、身を乗り出す人がいた。
隆一は調子に乗って、
ジャッ、ジャッ、ジャー……、ともう一度弾く。すると、
「ディープ・パープル好きなんだよね」
という声が聞こえる。
残念ですが、この曲は演奏しません。隆一は心の中で呟いた。
そのときドアが開いて女の子の二人連れがやってきた。隆一の視線は反射的にそっちに向かった。けっこうかわいい二人だ。きれいな足をしているじゃないか、なんて思ったり。
ギターに意識を戻そうとしたとき、一人の女の子が隆一に向って手を振った。誰だろう? 隆一は最初分からなかったが、誰だ? と、じっと顔を見つめると、
「あっ」
と、思わず声に出してしまった。それは彩乃だったのだ。隆一はパーカーやジーンズ姿の彩乃しか知らない。スカートやパンプスの大人っぽい服装でおどろいてしまう。まるで別人に、とてもかわいらしく見えた。隆一はしばらく彩乃に釘づけになっていた。
「そろそろいい?」
徳さんが隆一たちを見ました。彩乃に見とれていた隆一は、はっと我にかえる。