キミと出逢えたキセキ
⑥ 告白
10月になった。
相変わらずの生活が続いている。
部活を早く終えたわたしは、教室に忘れものをしたことに気づいて取りにいった。
雛乃にも、ちゃんと 塾だから早く帰るね って伝えてきたから大丈夫。
はやく準備して帰らないと。
そんなことを思いながら教室に入って行った。
そっか そうだ。
もうすぐ文化祭だったんだ。
展示する絵を描き終えていない子が教室に残って絵を描いていた。
その中に 大好きな人がいた。
友だちと笑いながら絵を完成させようとしているキミが。
わたしは、さっき2年生とゲームをしたばかりだからとにかく汗が止まらない。
持ってきたタオルで、ずっと汗を拭いていた。
でも 拭いても拭いても出てくる汗。
夏はほんとに暑くて困る。
まぁ でもこれが夏の好きなところでもあるんだけどね。
教室に入った途端 悠実に見つかって
「あ 結愛 部活おつー」
「あ うん まじ疲れたわ 泣」
そんな会話をしていたのに たっくんが気付いた。
「お おつー てか お前絵終わってるんだ 俺に部活行かせろっつーのー」
そんなことを言われて
「たっくんが遅いのが悪いんでしょー」
そんなやりとりが続く。
わたしは、忘れものであるシーブリーズを取って首元につけた。
すぅーっとして気持ちがいい。
グリーンアップルの香りだから、結構気にいってるんだよね。
そう思いながら シーブリーズを使っていると
たっくんがビックリしたような顔でわたしの方に近づいてくる。
そして わたしの手からそれを奪うと自分のエナメルをごそごそ探し出した。
たっくんの手に握られていたもの。
それは わたしと全く同じシーブリーズだった。
わたしも一瞬動きが止まってしまった。
そんな光景を見たたっくんが先に口を開いた。
「なんで お前俺と同じのなんだよー もぉぉぉぉぉ」