身代わり王女に花嫁教育、始めます!
「私が強い力を持つ神官であったら、あなたは嬉しいのか?」


今は聞くべきではない。そう思いながらも、カリムは尋ねずにいられなくなった。


「カリムどの……ホマーはどうなったでしょうか?」


リーンの返答は肩透かしもいいところだ。


「ホマー? なぜ、ここで侍女の名前が出てくる?」

「……ホマーがバスィールの宮殿に戻れば、大公……父上に色々なことを伝えたはずです。その……ホマーは戻る予定ではありませんでしたから。そうなれば、父上の使者がやって来るはず。わたくしは、どうしてもその使者と会わなければ……」


リーンの言わんとすることはよくわかっていた。

大公がレイラー王女を見つけだし、彼女と入れ替えるために国境のテントまで送り届けてくれる、と信じているのだろう。

だが、大公がすでに王女と連絡を取っている、といった報告は受けていない。それどころか、大公がレイラー王女を探そうとする気配すらなかった。


クアルン王国からの問い合わせにも、くだらない言い訳を繰り返すのみ……。


(大公はこの娘をレイラー王女と偽ったまま嫁がせるつもりなのか? あるいは他に理由が……)


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