身代わり王女に花嫁教育、始めます!
カリムが考えごとに集中して、リーンを抱く力が弱くなる。

すると、彼女はスルリと抜け、 


「カリムどの! カリムどのは……独身……ですか?」


振り向くなり必死の形相でカリムに問い質した。

呆然としたまま、カリムはとりあえず正直に答える。


「……そうだが……それがどうした?」

「あの、わたくしの侍女にされたシャーヒーンは……カリムどのの恋人でしょうか?」

「どうして私がシャーヒーンに手をつけねば……」


そこまで口にして、カリムは驚きも隠さずリーンの顔を覗き込んだ。

リーンは真剣なまなざしで、カリムを見上げていた。その瞳に映るものは、とても肉体の欲望だけとは思えない。

リーンは本気でカリムとシャーヒーンの関係を案じているのだ。

それが意味することは……。


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