身代わり王女に花嫁教育、始めます!
(今は……まずい。ハッキリせぬうちに真相を告げられたら……大公の思惑もわからず、巫女の件もまだ……)


カリムはこのとき、自分の変化に驚いていた。

目の前の少女がほしければハーレムに連れ込めばいい。大公の思惑はおろか、バスィールからの問い合わせにも、知らぬ存ぜぬを通せば済むことだ。

それがなぜか、少女を正式にハーレムの住人にしたいと望んでいた。

クアルンの神と砂漠の精霊の祝福を受け、正しい方法で妻として迎えたい、と。


(なぜだ……なぜ、こんなに拘る。こんな娘が気になるのだ!)


カリムはとっさにリーンの口を押さえた。

再び背中を向けさせ、彼女の背後から抱きしめるように押さえ込む。そして、衣装の前を一気に破った。

濡れて弱くなった生地はカリムの力で簡単に引き裂かれる。ボロボロになった布を彼女から引き剥がし、見る間にリーンを裸にした。


「んん……んんんっ」

「黙れ。抵抗するなら、すべてを奪うぞ。――おとなしくしていろ」


カリムの言葉にリーンの動きは止まった。


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