身代わり王女に花嫁教育、始めます!
(2)不敗の王
砂塵を巻き上げ、一羽の鷹が疾走する。
まさにそう思えるような低空飛行だ。一瞬で獲物の蛇を捕らえ、空高く舞い上がった。
純白の翼を持つ鷹は大空を優美に滑空する。そして、金色の髪をした主人を見つけると高い声で鳴き、その腕に下りて来た。
「シャーヒーン、お前ほど美しい女はおるまいな」
トーブと呼ばれる真っ白いマントを羽織り、彼は愛妾に話しかけるように甘く囁いた。
「陛下、本当に王女を追い返すおつもりですか?」
背後で少しくすんだ金髪を持つ男が困ったような顔をしている。
「この私に妃など不要だ」
「しかし、バスィールの王女を娶り、独立を保障すると同時に、東の大国との盾とするのは古来より我がクアルンで行われてきたことです。それを陛下が覆すとなると」
黄金の髪と瞳を持つクアルン国王に意見するのは、側近のカリム・アリーであった。
そんな恐れ多いことができるのは、半分血の繋がった彼だけだろう。
まさにそう思えるような低空飛行だ。一瞬で獲物の蛇を捕らえ、空高く舞い上がった。
純白の翼を持つ鷹は大空を優美に滑空する。そして、金色の髪をした主人を見つけると高い声で鳴き、その腕に下りて来た。
「シャーヒーン、お前ほど美しい女はおるまいな」
トーブと呼ばれる真っ白いマントを羽織り、彼は愛妾に話しかけるように甘く囁いた。
「陛下、本当に王女を追い返すおつもりですか?」
背後で少しくすんだ金髪を持つ男が困ったような顔をしている。
「この私に妃など不要だ」
「しかし、バスィールの王女を娶り、独立を保障すると同時に、東の大国との盾とするのは古来より我がクアルンで行われてきたことです。それを陛下が覆すとなると」
黄金の髪と瞳を持つクアルン国王に意見するのは、側近のカリム・アリーであった。
そんな恐れ多いことができるのは、半分血の繋がった彼だけだろう。