身代わり王女に花嫁教育、始めます!
アリーは今ひとつ納得できないのか、しばらく無言で立っていたが、やがて諦めたように口を開いた。


「仰せのままに。彼女には、明日、砂漠の宮殿に向かう、と伝えました」

「何か言っていたか?」


アリーは小さくため息をつくと……。


「王の側近であるカリム殿にお会いしたい、とのこと。……いかがなさいますか? “カリム殿”」


王はアリーの嫌味に目を細めつつ、離れていくバスィールの馬車に視線を移した。


(カリムの名で彼女と会うのは最後……か)


王は目を細めたまま答えた。


「いいだろう。もう一夜、名前を借りるぞ、カリム」


カリム・アリーは無言で頭を下げるのだった。 


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