身代わり王女に花嫁教育、始めます!
サクルはふっと笑った。それはこれまでと違う王の微笑。


「一度だけでよいのか?」

「それは、どういう……」


リーンが質問を終える前に、サクルは再び彼女に口づけていた。

片手で折れそうに細い腰を抱き寄せ、残った手でリーンの胸をなぞる。しばらく続けると彼女の吐息も色づき、リーンの手がサクルの腰に置かれていた。


「よほど私が欲しいようだな。だが……ここではダメだ」

「い、いえ、わたしはそんなつもりじゃ」

「私が好きなら、二度と逆らうな。お前は余計なことを考えず、砂漠の宮殿に行け! 命令だ。従うなら、私たちはもう一度親密な時間を過ごすことが可能となる」


サクルの言葉にリーンは真っ青になる。


「そんなっ! 絶対に無理です。それに……まさか、王の」


リーンはサクルが王に反旗を翻すとでも思ったようだ。


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