身代わり王女に花嫁教育、始めます!
テント内に蝋燭の灯りがともり、カーテンの向こうには侍女らしき人影が最低でも五人はいる。
優雅な物腰といい、丁寧な言葉遣いといい、クアルン王室に仕える侍女に間違いないだろう。ひょっとしたら、王のハーレムで働く侍女たちかもしれない。
しかし、リーンにつけられた侍女はシャーヒーンひとりだったはずだ。
目を凝らして見るが、彼女らの中にシャーヒーンらしき人影は見当たらなかった。
「重ねて申し上げます。王女様、お目覚めの時間でございます。恐れながら、カーテンの隙間より黒い衣を入れさせていただきました。それを纏い、お起きいただけますでしょうか?」
「あ……はい」
リーンは虚ろな状態で聞いていた、王の側近アリーの言葉を思い出していた。
『クアルンの砂漠はバスィールの砂漠とは規模が違います。この辺りは昼間でも移動可能ですが、ここから南に丸一日進むとなると、昼間の移動はいささか危険となります――』
優雅な物腰といい、丁寧な言葉遣いといい、クアルン王室に仕える侍女に間違いないだろう。ひょっとしたら、王のハーレムで働く侍女たちかもしれない。
しかし、リーンにつけられた侍女はシャーヒーンひとりだったはずだ。
目を凝らして見るが、彼女らの中にシャーヒーンらしき人影は見当たらなかった。
「重ねて申し上げます。王女様、お目覚めの時間でございます。恐れながら、カーテンの隙間より黒い衣を入れさせていただきました。それを纏い、お起きいただけますでしょうか?」
「あ……はい」
リーンは虚ろな状態で聞いていた、王の側近アリーの言葉を思い出していた。
『クアルンの砂漠はバスィールの砂漠とは規模が違います。この辺りは昼間でも移動可能ですが、ここから南に丸一日進むとなると、昼間の移動はいささか危険となります――』