身代わり王女に花嫁教育、始めます!
(5)敵対者
牙を持つ獣のようだった。
砂嵐がリーンらを襲ったのだ。岩に隠れ、過ぎ去るのを待とうとした彼女らをみつけるなり、引き返してきて兵士や侍女を嵐が巻き込んだ。
馬やラクダもリーンの目の前で吸い上げられていく。
砂嵐に潜んだ獣は牙を剥き、あらゆる命を喰い荒らした。
アリーはリーンを下ろすとシャムシールを抜き身構えた。
しかし、相手は砂嵐である。リーンとアリー、そして近くにいた数名の侍女が吸い込まれ……。
(ああ、わたしはここで死ぬんだわ。王には正体がばれずに済むけれど、サクルさまにも二度と会えない)
純潔のまま死ねば、どんな罪を犯していても神のもとに召されるという。でも、たとえ地獄に落とされてもよいから、サクルにすべてを捧げてから死にたかった。
そんなことを考えながら、リーンの意識は嵐の中に消えていき……。
「王女様! 目をお開けなさいっ」
砂嵐がリーンらを襲ったのだ。岩に隠れ、過ぎ去るのを待とうとした彼女らをみつけるなり、引き返してきて兵士や侍女を嵐が巻き込んだ。
馬やラクダもリーンの目の前で吸い上げられていく。
砂嵐に潜んだ獣は牙を剥き、あらゆる命を喰い荒らした。
アリーはリーンを下ろすとシャムシールを抜き身構えた。
しかし、相手は砂嵐である。リーンとアリー、そして近くにいた数名の侍女が吸い込まれ……。
(ああ、わたしはここで死ぬんだわ。王には正体がばれずに済むけれど、サクルさまにも二度と会えない)
純潔のまま死ねば、どんな罪を犯していても神のもとに召されるという。でも、たとえ地獄に落とされてもよいから、サクルにすべてを捧げてから死にたかった。
そんなことを考えながら、リーンの意識は嵐の中に消えていき……。
「王女様! 目をお開けなさいっ」