身代わり王女に花嫁教育、始めます!
リーンの中でひとりの男性が浮かび上がる。


「そして……花嫁を餌に王をおびき寄せようとくわだてる者。王を憎み、王の命を奪わんとする者だ」


砂漠に詳しく、強い力を持つ水使い。


(まさか……サクルさまが? わたしを妻にするために?)


そのとき、リーンの前に座るアリーがひざを立て、腰のシャムシールに手をかけた。

彼はゆっくりとシャムシールを鞘から抜き放つ。


「あ、あの……アリーどの?」


彼の表情は強張っていた。

食い入るようにリーンを見つめ、その刃先を……なんと彼女に向けたのだ。


「そのまま、動いてはならん」


その声は切羽詰まっていた。


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